「霧」と「衣被(きぬかつぎ)」の句会 ― 2024/09/19 07:03
12日は、あいかわらずの残暑が続いていたが、『夏潮』渋谷句会だった。 療養中で<暑中見舞読み返しては恢復期>の本井英主宰、9月からは日常の生活にもどっているけれど、各俳句会に出るつもりだが、若干の「不安」もある、と『夏潮』9月号の「消息」にあった。 ご出席かどうか、心配していると、「電気咽頭」のお声が聞こえ、拍手で迎えられた。 句会を大事にされる、その気力のものすごさに、ただ頭が下がる。 4日には池袋の句会に出られたそうだが、帰りの電車の不通で、深夜の帰宅になり、大変な思いをされたらしい。
兼題は、「霧」と「衣被(きぬかつぎ)」、私はつぎの七句を出した。
一瞬の摩周の湖面霧晴れて
こはごはと濃霧の釧路橋渡る
そろそろとオレンジ色のフォグランプ
横浜の坂を登れば霧笛かな
老い二人言葉なくとも衣被
熱々を生姜醤油で衣被
熱々をつるりと剥いて衣被
私が選句したのは、つぎの七句。
霧奥に打ち捨てられしサイロかな 照男
朝霧の川面に鮠(はや)のはねる音 盛夫
何処から投網打つ音霧流る 真智子
街灯の滲みて淡し霧の町 伸子
白魚の指には遠く衣被 さえ
きぬかつぎ糊のききたる割烹着 盛夫
ぬれ縁に月を待ちをり衣被 美保
私の結果。 <老い二人言葉なくとも衣被>を、庸夫さんと、千草さんが採ってくれた。 互選2票のみの、あいかわらずの低迷かと思っていたら、英主宰が選で、取り損ねたとおっしゃって、この句<老い二人言葉なくとも衣被>を採って下さった。 選評で、そのままの句だが、長い夫婦二人の人生、会話もいらない、思い出話もいらない。 不思議な句、いい句、と。
他に、私の選んだ句で、主宰選にもなった句の主宰選評。 <霧奥に打ち捨てられしサイロかな 照男>…何十年か前に、サイロは危険で必要ないということで、今はロールになった。屋根のペンキも剥げて、寂しい状態になっている。 <きぬかつぎ糊のききたる割烹着 盛夫>…この割烹着、心に描く理想の主婦像でなく、現実を考えてしまった。料亭などの女将の、売りとしての割烹着、ノスタルジアを狙う商売を。
兼題は、「霧」と「衣被(きぬかつぎ)」、私はつぎの七句を出した。
一瞬の摩周の湖面霧晴れて
こはごはと濃霧の釧路橋渡る
そろそろとオレンジ色のフォグランプ
横浜の坂を登れば霧笛かな
老い二人言葉なくとも衣被
熱々を生姜醤油で衣被
熱々をつるりと剥いて衣被
私が選句したのは、つぎの七句。
霧奥に打ち捨てられしサイロかな 照男
朝霧の川面に鮠(はや)のはねる音 盛夫
何処から投網打つ音霧流る 真智子
街灯の滲みて淡し霧の町 伸子
白魚の指には遠く衣被 さえ
きぬかつぎ糊のききたる割烹着 盛夫
ぬれ縁に月を待ちをり衣被 美保
私の結果。 <老い二人言葉なくとも衣被>を、庸夫さんと、千草さんが採ってくれた。 互選2票のみの、あいかわらずの低迷かと思っていたら、英主宰が選で、取り損ねたとおっしゃって、この句<老い二人言葉なくとも衣被>を採って下さった。 選評で、そのままの句だが、長い夫婦二人の人生、会話もいらない、思い出話もいらない。 不思議な句、いい句、と。
他に、私の選んだ句で、主宰選にもなった句の主宰選評。 <霧奥に打ち捨てられしサイロかな 照男>…何十年か前に、サイロは危険で必要ないということで、今はロールになった。屋根のペンキも剥げて、寂しい状態になっている。 <きぬかつぎ糊のききたる割烹着 盛夫>…この割烹着、心に描く理想の主婦像でなく、現実を考えてしまった。料亭などの女将の、売りとしての割烹着、ノスタルジアを狙う商売を。
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