ミヒャエルと、マイケルと2009/07/13 05:22

 『愛を読むひと』(スティーブン・ダルドリー監督)を観た。 「大ヒット上 映中」というけれど、7日午後1時からのTOHOシネマズ六本木ヒルズは、大 型スクリーンの2に、10人ほどの相客だった。

 原作の『朗読者』のことは、2000(平成12)年7月25日の「等々力短信」 884号に「年上の女」と題して、書いていた。 15歳ミヒャエルと36歳ハン ナの恋の発端、少年がハンナに文学作品を読んで聞かせる儀式。 ハンナが突 然姿を消し、物語は深刻な展開を見せる。 法科大学生になったミヒャエルが、 ナチス戦犯を裁く被告席にハンナを見つけ、彼女のある真実に思い当たる。 ハ ンナがそれを告白しないために、無期懲役の判決が下る。

 映画で、まず違和感があったのは、ドイツ人が英語をしゃべっていることだ った。 ミヒャエルは、マイケルになる。 原作にはなかったような気がする (9年前の記憶はあいまいだが)朗読したカセットテープを送るくだりで、チ エホフの『犬を連れた奥さん』が出て来る。 ハンナが刑務所の図書室で借り て、読むことと書くことの勉強を始めるこの本も、当然英語で、The、The、the、 theの共通なのを発見して、○で囲むのだった。

 「短信」に書いていた範囲での原作との相違は、少年の病気の「黄疸」が「猩 紅熱」になっていたこと、読む本も『エミーリア・ガロッティ』『たくらみと恋』 『戦争と平和』だったのが、『オデッセイア』『ハックルベリー・フィンの冒険』 『ジョーズ』『チャタレー夫人の恋人』『タンタンの冒険旅行』などだった。

 私が一番見たかった「年上の女」の部分で、ケイト・ウィンスレットに、少 年を無我夢中にさせるだけの魅力を感じなかったのは、遺憾であった。

  黒南風やケイトの乳首色の濃き