夢心地のお祝いスピーチ2009/07/09 06:36

スピーチする辰濃和男さん(写真・林莊祐さん)

 ここから夢のような時間が始まった。 「『等々力短信』1,000号を祝う会」 は、三人の方に読者を代表してのスピーチをお願いしていた。  最初は朝日新聞の「天声人語」を、足かけ14年四千回近くお書きになった 辰濃和男さん。 辰濃さんが「天声人語」を書き始めたのは1975(昭和50) 年12月からだから、同じ年に始まった「等々力短信」は「戦友」のようなも のだと、まず話された。 「等々力短信」の「力」について沢山書いてきたと 草稿を示し、5分といわれたのでと、四つにしぼった。 (1)落語の力…漱石 の文章にもある落語の影響が色濃い。 (2)福沢諭吉の力…福沢学の大家、 福沢の強い味方、脱亜論や複眼の思想などを説明。 (3)やじ馬的な力…世 の中の新しいコト、モノに鋭敏な感受性をもち、独自の見方で調べにゆく精神。 「等々力短信」で紹介された本を何冊も本屋へ買いに行った、たとえば『笑う カイチュウ』(696号・藤田紘一郎著)。 (4)まとめ力…自著『文章のみがき 方』をとりあげた短信(982号)は、書いた自分がまとめるよりよくまとまっ ていた、馬場さんにはいつか『文章のまとめ方』という本を書いてもらいたい、 と。

 つづいて、芳賀徹さん。 昨年『源氏物語』千年紀を主導された芳賀さんが、 この日は「等々力短信」千号の会に来てくださった。 「等々力短信」の馬場 さんは、福沢思想のもっともよい血脈を、昭和・平成の世に引継ぎ、一市民と しての日々の生活のなかに生かしている。 旺盛な知的好奇心からのいきいき とした観察を、平明達意の文章に綴って、報告し、主張する「独立自尊」の人 だ、と。

 少し遅れて到着した福澤諭吉協会理事長の服部禮次郎さん(正しくは、禮は ネ偏)は、馬場夫婦を壇上に上げ、とくに家内の「等々力短信」千号への貢献 に言及してくださった。

 これらの過褒に、本人はかなりこそばゆかった。 あとで家内も、神戸から 重篤な病を押して参加してくれた湊邦彦さんも「馬場って、そんなにエラかっ たの」と正直な感想を漏らしたけれど、お三人のお祝いのスピーチのおかげで、 馬場紘二の株は五円高となったのであった。

 乾杯の音頭をとった、高校が同じで大学のクラスも同じだったファイザー社 長の岩崎博充さんは、インターネットの古本屋で『五の日の手紙』が高値にな っているので、持っている人は大事にしたほうがいいという情報を伝えてくれ た。