「多和田葉子のベルリン通信」のメルケル首相2017/09/17 06:55

1993年「犬婿入り」で芥川賞を取った小説家で詩人の多和田葉子さんは、 1982年からドイツに住み、現在はベルリン在住だそうだ。 朝日新聞朝刊に随 時「ベルリン通信」を寄せている。 9月8日朝刊では、アンゲラ・メルケル 首相がどんどん国を変えていった話を書いていた。 メルケルは「鉄の女」な どという女性政治家のステレオタイプの渾名ではなく、若い頃はコール首相の メートヒェン(女の子)と呼ばれていたが、いつのまにかムッティ(母さん) という政治家としては悪くない渾名が定着した、という。

彼女の政権下でドイツは変わった。 まず、半世紀以上続いた一般兵役義務 がなくなった。 それが決まった2011年3月、メルケルは福島原発事故のニ ュースを深刻に受け止め、脱原発を宣言した。 そして15年には多数の難民 を受け入れた。 正義感と共感に突き動かされたメルケルの決断の速さは、右 寄りの政治家たちを動揺させた。 なにしろ彼女はドイツ最強の保守勢力であ るキリスト教民主同盟の党首なのだ。

今年になって、更に驚くべきことがあった。 キリスト教民主同盟は昔から 同性婚には絶対反対だった。 6月同性婚について質問を受けて、国会にかけ ることを約束し、夏休み前には多数決で同性婚の合法化が決まった。 メルケ ル自身は反対票を入れた。

メルケルは言論の自由を弾圧している国家と仲良くしすぎるという批判をよ く受ける。 しかし元共産圏やイスラム圏の政治家を頭ごなしに否定したり、 下に見たりしないので、相手にも受け入れられ、対話が途切れない。 潔白な 民主主義者から見たら濁りのある外交かもしれないが、国の代表者が武器で脅 し合うのでなく、話し合いを続けてくれた方が私たちは安心して暮らせる。 多 和田葉子さんは、そう言うのだ。

私も、2015年にメルケル首相が来日したあとで、「ドイツのメルケル首相に 感心する」を書いていた。 それは、明日再録する。

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