橘家圓太郎の「五人廻し」後半2018/06/10 07:22

 喜瀬川さんエ、喜瀬川さんエ。 小使! 小使ではないか、おい、貴様は何 だ。 二階を回しております。 大変なる筋力だな、黙れ逆賊、前へ進め。 ヘ イヘイ。 何歳にあいなる? 45歳で。 45にもなって、かかる巷で、こん にち男女同衾する夜具布団を運搬しておって、何が面白い。 尋ねたいことが ある。 ここに枕が二つある。 一つは僕、もう一つは何人が使用するものな るか、即答をぶて。 えー、もう一つは、可愛いあの妓さん…。 あの妓さん にも、この妓さんにも、三日月の宵からチラリとも見えんではないかッ。 こ こに受取がある、契約が違うではないか、僕の気持もわかってもらいたい。 妻 は長く患っておる。 ヘソクリをぼくのフトコロにねじ込んでくれた、その妻 の勧めで登楼しているのだよ。 妻の意が無になるではないか。 妻のことを 思うと、どうしても玉を返してもらいたい。 真の女郎買いとは何か、貴様に わかるか。 清い体では目的を達することができない。 ケツを貸せ! 冗談 じゃないよ。

 手の鳴る方へ、若け衆(し)さん、来てもらいたい。 喜助、オラだ。 宵 に喜瀬川が来たから、鮨を取ってやったら、パクパク食って、それっきりだ。  今日は忙しかったんだよ。 オラは真の江戸っ子だ、印旛沼の水で産湯をつか い、とことんやれだ。 ワレと遊ぼう、着物をするりと脱いで、ヘソを出せ。  煙管、刀豆(なたまめ)煙管、ワレのヘソにグイッと入れる。 鼻から、煙(け む)出せ。

 喜瀬川さんエ。 何でここにいるんです。 玉代返せって、大変な騒ぎにな ってますよ、お大尽の所を離れて、回って下さい。 玉代返して、帰ってもら っとくれ。 一円ずつで四円、すみませんね、お大尽。 末は、ヒーフになる んだから。 もう一円、頂きたい。 どうするんだ? お大尽に、帰ってもら う。

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