川瀬巴水の木版画2008/04/10 06:41

 5日、江戸東京博物館で6日に終わった川瀬巴水展「東京風景版画」を見て きた。 初めから見る気のなかった「篤姫」展も同じ期限なので、長い行列が 出来ていた。

 川瀬巴水(はすい)(1883(明治16)~1957(昭和32))は木版画家、東京市芝区 露月町(現、港区新橋5丁目)に生れ、1910(明治43)年白馬会研究所で岡田三 郎助に洋画を学び、のちに日本画の鏑木清方に入門した。 1918(大正7)年伊 東深水の近江八景の木版画に感動、版元の渡邊庄三郎のもとで、版画家として の活動を始めた。 その版画は、版元と絵師・彫師・摺師の協同による、江戸 時代の浮世絵と同様の伝統的な木版画技法によって制作された。 川瀬巴水は 「広重の再来」とも、「旅情詩人」とも呼ばれた。

 私は以前から巴水の風景版画の独特の情緒が好きで、この展覧会はどうして も見たいと思ったのだった。 1986(昭和61)年に東京都庭園美術館で開催され た「回想の江戸・東京」展や、芳賀徹さん編『絵のなかの東京』(岩波書店・1993 年)で、心の中に焼きついた巴水版画を、機会があれば、もっと沢山見たいもの だと考えていたのである。