立川談志の「落語家」論2008/04/27 06:30

ほとんどの師匠連中をこき下ろす談志が、六代目三遊亭円生を褒める。 守 備範囲、攻撃範囲が、とても敵わないほど広い。 声も、あのいい声の中音で、 音曲が唄えて、子供の頃「豆義太夫語り」だったし、大阪にいたこともあるか ら、義太夫や大阪弁はもちろん、音曲噺、芝居噺、滑稽噺、人情噺、短い噺、 ばかばかしい噺、円朝作品や文芸物まで、何でもいけた。 上手くて、面白く て、ばかばかしい。 談志はとりわけ、円生の演る中で一番セコイいわれる噺、 『おかふい』『相撲風景』『勘定板』に「摩訶不思議な部分」がひょいひょいと 出てくるところを買っている。

十代目金原亭馬生はロジカルな人で、唯一人、小ゑん時代の談志の理屈を聞 いてくれた。 だが馬生は、ロジカルな部分は作品を作るために使って、決し て落語の中に出さなかった、という。 そこで談志の唱える“談志落語”の話 が出てくる。 「面白い」「上手い」の二点のほかに、「狂気」が加わる。 「常 識・非常識にない世界」、つまり「人間のどろどろしたもの」まで演じられるか、 どうか。

談志は「噺家」ではない、という。 「落語」を語っている「落語家」だ、 と。 古今亭志ん生の語った「訳のわからないような部分」が出ている「落語」 を、分解し、語っているのが立川談志なのだ、と。

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