柳家三三の「五貫裁き」前半2017/10/08 07:34

 三三は鼠色の羽織、濃緑の着物。 年を取ると、若い時見なかったテレビの 時代劇、毎週同じのを安心して見ていられる。 (『水戸黄門』の決めゼリフを 言い、)今日は客層を見て、初代でやってみました。 『遠山の金さん』、桜吹 雪はマンネリだから、季節に合わせて変えたらどうかという意見があったが…。

 心配して来てくれたのは、大家さんだけです。 博打場の使いっ走りはやめ て、今度はかたぎになって、八百屋をやろうと思う。 結構じゃないか。 そ こまでは結構だが、長患いで一文無し、元手をいくらか貸して頂きたい。 大 家といえば親も同然、親子なんだから。 親子も、天丼もない、と言ってしま うと、折角のお前の了見が曲がる。 奉加帳を作ってやるから、元手をご寄進 願いますと、頭を下げて回るんだ。 初筆が大事だ、金のある物持の家へ行け。   

野郎も、やっと目が覚めたな。 よかった、よかった。 と、思ったら、も う帰って来たぞ。 八公、どうした? 額から血が出てるぞ。 初筆に大金持 の質屋、徳力屋万右衛門の所へ行った。 徳力屋はガリガリ亡者だ、猫につい ている蚤までもらおうとする。 番頭の作兵衛が三文と書いた。 すると、万 右衛門が出て来て、三を消して、一と書いた。 徳力屋には、昔、八五郎の父 親に役人との間を取り持ってもらった恩があるのに…。 八五郎が怒って、一 文の銭を投げつけたら、万右衛門に煙管で額を叩かれた。

面白くなってきたな、婆さん、薬を塗ってやれ。 薬がなければ、ツバキで もいい、年増のツバキは乙なものだ。 願書を書いてやるから、奉行所へ駆っ 込むんだ。 南町奉行所、大岡越前守様のところだ、断わられても、何べんで も持ち込むんだ。 駆っ込み願い、何度も続けると、五度(ごたび)目に、お 調べとなる。

判決、落着(らくじゃく)の言い渡し。 八五郎、おもてを上げろ。 万右 衛門は、私の持ってる煙管に向かって八五郎が頭をぶつけて来た、渡した一文 銭を投げつけた、と言う。 控えよ、ここをいずこと心得る、天下の通用銭を 投げつけるとは、不届きである、八五郎に五貫文の科料金を申付ける。 五貫 文? 五千文、一時(どき)にですか。 但し、一日に一文ずつ納める日掛を 許す。 家主は居るか、仲立ちをしてくれるように。 徳力屋は、関わり合い で、八五郎の日掛の一文を、毎日奉行所に届けてくれるか。 一同、立ちませ い!

 納まらないのは、八五郎。 大家! 毎日徳力屋へ持って行く一文は、俺が 出す。 当り前だ。 八公、面白くなってきたな。 えっ?

 カラスカアと、鳴かない内に、八公! 開けろ。 日掛の一文を持って、徳力 屋へ行け。 寝ている内に、起すんだ。 一文渡して、半紙にきちんと受取を 書いてもらうんだ。 判も捺してもらえ。 しっかり、やって来い。

 真っ暗だ。 ドンドン! はようございます。 番頭さん、八五郎です、日 掛の一文持って来ました。 御奉行所に納める大事な一文、半紙に受取を書い て下さい。 半紙は、一文じゃ買えない。 ちゃんと判も捺して。

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