鎌倉の四季を描いた映画『海街diary』2015/11/12 06:30

 鎌倉が舞台の映画、是枝裕和監督の『海街diary』という映画を6月に観た。  なぜかブログには書いていなかった。 鎌倉で暮らす三姉妹、長女・幸(綾瀬 はるか)、次女・佳乃(長澤まさみ)、三女・千佳(夏帆)のもとに父の訃報が 届く。 15年前、父は家族を捨て、母(大竹しのぶ)も再婚して家を去ってい た。

 「死があたかも一つの季節を開いたかのようだった。」(堀辰雄『聖家族』)  父の葬儀の山形で、三姉妹は腹違いの妹・すず(広瀬すず)に会う。 父を奪 ったすずの母はすでに亡く、父の再々婚相手の義母と二人になった中学生のす ずに、幸は思わず声をかける。 「鎌倉で一緒に暮らさない?」 「行きます」 と、すず。 四姉妹の鎌倉での暮らしが始まる。

 しっかり者の長女は看護師、翔んでる次女はそれでも信金勤務、ほんわかし た三女は彼氏のスポーツ用品店勤め、中学生のすず一人ぐらい養えるよ、と優 しい。 是枝裕和監督は、女優たちの美しさと、すずがそこでの生活に馴染ん でいく一年間の、鎌倉の四季の美しさを撮った。 四姉妹が暮す極楽寺の一軒 家は、父母が去ったあと、三人を育て、ともに暮らした祖母の思い出が詰まっ ている。 庭には四季折々の花が咲く。 梅の木には花が咲き、実が生って、 毎年梅酒をつくるのだ。 春、すずがボーイフレンドの自転車の後ろに乗って、 桜のトンネルを駆け抜ける。 腰越漁港で解禁されたしらす漁の、釜揚げ作業 を友達の家で手伝う。 夏は、花火大会、浴衣姿でする庭の花火、昼寝、最後 に四姉妹が語り合いながら歩く海辺。

 是枝裕和監督は、「この映画の中心にあるのは、街とそこに日々積み重なって いく時間であるのではないか」と、プログラムに書いている。 「街は、一見、 昔と変わらずそこにある。やがて映画に登場した人がみな死んでしまったとし ても、又誰かがやって来て、この街で人生の一時を過ごす。人間の営みなど浜 辺の一粒の砂のように小さいものでしかないとでもいうように。」と。