兼好「親子酒」のマクラ2015/11/20 06:27

 仲入で、うす茶の着物、濃茶の羽織と茶系に着替えた兼好、まずは二枚ある ところを、と。 こんな楽な商売はない。 30分しゃべればいい、25分で終 わったとしても、マンションが傾くようなことはない。 あちらは担当者が反 省しているそうで、すごくクイが残る、と。 旭化成は海外でもいろいろな工 事をしているらしい、代表的なものが……、ピサの斜塔。

 先生なんてのも、ちょっと間違ったら、人生とか、生命とかに関わる。 師 匠の好楽、「笑点」にピンクの着物で出ている、69歳、噺を忘れる。 途中で、 噺変えてもいいですか、なんて言ってる。 噺家はそれで済む。 医者が手術 をしていて、ごめんなさい、切っちゃった、患者さん変えて下さい、ってわけ にはいかない。

 道楽商売だけど、噺を演る前に飲むことはない。 私は生まれが会津若松、 酒を飲みそうだと言われるが、お猪口二杯で頭にバクバク心臓があるようにな り……、三杯目で落ち着いてくる。 酒乱は、見分けることができる。 乾杯 の時、手元に引き寄せて飲む人は、大丈夫。 自分から行く人は、駄目。

 ビールは、白髪に効く。 伯父、16歳から飲み始めて、ずっとビールだけ。  冬でもビールをお燗して飲む、燗ビール。 80いくつになっているが、白髪は 一本もない。 ツルッ、ツル。

 ○○上戸というのがいる。 泣き上戸、泣きながら、飲む。 すいません、 と泣きながら、また、注いで飲む。 神も仏もないのか…。 泣きながら、飲 む。 ところで、どなたが亡くなったんですか? ニワトリ上戸。 宴会など で並んでいるお膳に向い、パタパタやって、コッケッコーーッ! 酔ってない って言う人は、酔ってる。 それでも割り勘の勘定は早かったりする。 バー で。 酔ってないよ、ママ。 そのビール瓶二本が、四本に見えたら、酔って る。 もともと一本。

 そのお客は、酒を二杯、注文する。 キュッ、キュッと飲む。 どうも、ご 馳走様。 翌月も、その翌月も、酒を二杯、おいしそうに飲む。 毎月この日 に来て、二杯だけ飲む、何かワケがあるのか、訊いてみた。 死んだ親父の月 命日で、親父の分と、私の分と、二杯飲む。 いいお話で…。 今日は、一杯。  どうも、ご馳走様。 何か、あったんで? 私、今、禁酒しているんで。

 あなたは飲ませ上手で、時を忘れて飲みました。 まん丸の月が、きれいで。  酔っぱらっていますね、あれはお天道様です。 いや、お月様。 角を出て来 た、あの人に聞いてみましょう。 ハーーイ、何かご用で(と、酔っぱらって いる)。 あそこにぽっかり浮かんでいる、丸いの、何でしょう? ハーーイ、 何かわかりません、私、この辺の者じゃないんで。