文運の進展~慶應義塾創立百年記念式典2008/05/20 06:31

 50年前の慶應義塾創立100年の年、私が高校2年生だったことは先月の「等々 力短信 第986号 2008.4.25.」に書いた。 「義塾百年のクライマックス“慶 應の新しい出発点”」という大見出しを立てた『慶應義塾志木高新聞』の一面を 飾った写真は、1958(昭和33)年11月8日日吉記念館で挙行された創立百年 記念式典でお言葉を述べられる天皇陛下(昭和天皇)を、テレビ中継(「東京テ レビ」とあるがTBSだろう。テレビ東京の前身は1964年4月開局)の画面を 保科新聞部員が撮影したものだった。 私は式典に参列していて、そのお言葉 の「我が国文運の進展に寄与するよう」というのを、なぜかよく記憶していた。  先日、『慶應義塾百年史』下巻(通頁3137以下)を確認したら、お言葉の全文 はつぎの通りだった。

「慶應義塾が百年にわたり、福沢諭吉創業の精神にのっとり、青少年の育成に 努め、幾多の人材を世に送り、国家社会の発展に多大の貢献をして来たことは、 私の多とするところであります。  今後、更に協力一致して、此の輝かしい伝統を守り、我が国文運の進展に寄 与するようますます努力することを望みます。」

 これよりさき、奥井復太郎塾長の式辞と、大浜信泉早稲田大学総長、茅誠司 東京大学総長、W・コーディル ハーバード大学代表、小泉信三塾員代表の祝辞 があった。 小泉信三さんは、福沢先生の世に唱えた教えとして、次の三つを挙げていた。  第一、階級と男女を問わず、人の人としての尊厳を強く説ききかせたこと。  第二、自然と人文を問わず、一切の事物を合理的実証的に推究し、科学的精 神を鼓吹したこと。  第三、常に自国の独立を思い、自国の安否を思うこと父母の病を憂うるが如 くなれ、と励ましたこと。 『学問のすすめ』にある「独立の気力なき者は国 を想うこと深切ならず」は、今日も特に新しい響きを持っている、と。

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