土曜吟行会・本郷菊坂界隈2011/01/17 07:19

「五千円紙幣の樋口一葉」という宮川幸雄さんの案内に誘われて、8日「夏 潮」土曜吟行会に参加させてもらった。 宮川さんの案内文に、こうある。 一 葉の家族は本当にお金には困窮しており、日記には香典袋へ入れる現金に困る と書かれている。 その一葉は今、皮肉にも五千円紙幣の肖像画になっており、 もし一葉の手元に五千円があれば、家計は助かり、一葉も少しは長生きしたか もしれない、作品を読むたびに、一葉の短命を嘆かざるを得えない、と。

 東京メトロ丸の内線・本郷三丁目駅で集合、交差点の「本郷もかねやすまで は江戸の内」という小間物屋かねやす、ここから南は江戸市中で火事を防ぐ為 に瓦葺の屋根が義務付けられたそうだ。 郊外の北へ行けば日光御成道、西へ 行けば中山道、「見送り坂」「見返り坂」の名が残る。 古くは一葉の「桜木の 宿」の桜木という地名で、「見送稲荷」のある桜木神社に寄り、『婦系図』「真砂 町の先生」の真砂坂上から炭団坂という急坂を下りて、一葉旧居のある菊坂へ 行く。 元の本郷区菊坂町70番地、崖下の狭い路地に写真でよく見る井戸ポ ンプがあった。 住宅密集地だから、小声になる。 住民らしい中年の女性が、 階段を昇る吟行一行の間を鐙坂方向へすり抜けて行ったが、一葉女史だったか もしれぬ。

  一葉の井戸の寒木瓜日の当る

 菊坂を登って行くと、若山牧水が石川啄木の臨終に立ち会ったとか、宮沢賢 治や直木三十五が住んでいたとかいう説明板があり、創業三百年の吉田晴亮商 店という金魚屋があったりする。 菊坂を登りきって、本郷通りに出る右角は パチンコ屋だが、一葉の頃は本郷館という勧工場(百貨店)で、その後は宇野 千代も少し働いたレストラン燕楽軒だったそうだ。

  冬晴れや賢治啄木菊坂に

  冬うらら勧工場跡パチンコ屋