轟亭の小人閑居日記 　　　馬場紘二

　6日、長年にわたって一度行って見たいと思っていた「正倉院展」に行って 来た。　ＪＲ東海ツアーズの日帰りのパックだ。　どういうカラクリかわから ないが、とても安い。　早朝の新幹線で出かけ、午後3時過ぎのやや空いてく る時間帯に奈良国立博物館に入るように、その前に法隆寺と薬師寺を回るよう にセットしてある。　法隆寺は夢殿の秘仏・救世観音像の開扉中だし、薬師寺 は玄奘三蔵院の平山郁夫作「大唐西域壁画」特別公開中だ。　予報では一時雷 を伴う雨もあるというので覚悟していたのだが、歩くところも多かったから、 天気がよかったのは幸運で、快適な旅になった大きな要素だった。

　法隆寺はいい。　広いのがいい。　清らかなのがいい。　気分がゆったりし てくる。　中門、金堂、五重塔、大講堂のある西院伽藍の右手奥に、平成10 年に大宝蔵院というのが出来ていて、百済観音や玉虫厨子、夢違観音や天人を 描いた金堂小壁画などは、ここで見ることができる。　東院伽藍への土塀の道 もいい。　夢殿で秘仏・救世観音にご対面。　南大門前に整備された土産物屋 通りの一軒で昼食となる。　三輪素麺が入ったおつゆの辛いのは奈良風だそう だ。　奈良漬、葛もち、柿の葉鮨。　柿は食わなかったが、歩いていたら、さ びのきいた鈍い音で、法隆寺の鐘が鳴った。