「光(ひかり)」の歌会始、前半2019/01/20 07:35

 16日皇居正殿松の間で開かれた「歌会始の儀」の生中継をNHK総合テレビ で見た。 お題は「光(ひかり)」、緊張の中、午前10時30分厳かに始まり、 1時間15分ほどの、悠然とした時間が流れる。

 司会役を「読師(どくじ)」といい、声を発することなく、式全体の進行を司 る。 「披講(ひこう)」は、まず「講師(こうじ)」の近衞忠大(ただひろ) さんが、歌を一字一句正確に読み上げる。 続いて「発声」の役が最初の一句 を歌い、第二句以下を「講頌(こうしょう)」四人が節を付けて唱和する。

 「披講」では、入選者十名、選者代表、召人、皇族代表、皇太子妃、皇太子、 皇后、天皇の順に、歌が披露される。 入選者の歌は若い順で、「講師」が「年 の初めに同じく「光」ということを、仰せ言(ごと)によりて詠める歌、山梨 県 加賀爪のあみ」と言う。 苗字と名前の間に「の」が入る。 作者は自分の 歌が読まれる時に、起立する(天皇を除き)。 加賀爪のあみさんは16歳の高 校生、歌は<ペンライトの光の海に飛び込んで私は波の一つのしぶき>、「発声」 が「ペンライトの」と歌い、「講頌」の方々が「光の海に飛び込んで私は波の一 つのしぶき」と唱和する。 学校の先生の歌が二つあった。 岡山県の重藤洋 子さん(58歳)は、<無言になり原爆資料館出できたる生徒を夏の光に放つ>、 同じく岡山県の秋山美恵子さん(66歳)は、<光てふ名を持つ男の人生を千年 のちの生徒に語る>。

 選者は篠弘、三枝昂之、永田和宏、今野寿美、内藤明の五名だが、披講され たのは代表の篠弘さんだけで、<手づからに刈られし陸稲(おかぼ)の強(こ  わ)き根を語らせたまふ眼差し光る>、天皇さまの歌の相談にあずかっていて、 水稲と陸稲の根の違いを教えられた時のことを歌ったのだそうだ。 召人は意 外にも、<摩天楼から新緑がパセリほど>の俳人、鷹羽狩行さんだった。 < ひと雨の降りたるのちに風出でて一色(いっしょく)に光る並木通りは>、ご 自宅近くの並木を詠んだものということで、どこかは知らないが、銀座ではな いだろう。