「初富士」と「寒鴉」の句会2017/01/17 06:39

 12日は、今年初の「夏潮」渋谷句会だった。 兼題は「初富士」と「寒鴉」、 私は次の七句を出した。

初富士や一年なんぞ雲と飛ぶ

初富士に鷹と思へば鶚(オスプレイ)  (鶚=ミサゴ)

平和かなダイヤ初富士撮さんと

初富士や湧水の池透き徹る

ガアガアと風邪引いたらし寒鴉

寒鴉に阿呆阿呆オと浴せられ

寒鴉寄合なのか続続と

 私が選句したのは、次の七句

初富士へ金烏傾き初めんとす      英

初富士の浮かみ丹沢海色に       なな

町の背に初富士を見る中央線      明雀

湯に入りて初富士拝む至福かな     淳子

寒鴉村社の杜も痩せにける       和子

闇中に声しきりなり寒鴉        盛夫

すかすかの庭を睥睨寒鴉        さえ

 私の結果は、<初富士や湧水の池透き徹る>を裕子さんが採ってくれた互選 の一票のみ、正月早々トホホの句会となった。 なお「金烏」(きんう)は太陽 の異称、太陽の中に三本足の赤色の烏(カラス)がいるという中国古代説話に よる(=八咫烏、日本サッカー協会のシンボルマーク)。

 私が選んだ句で、主宰選となった句の、主宰選評。 <初富士の浮かみ丹沢 海色に>…巧い句。青々を思い切って「海色」と表現。真っ白の富士とのコン トラスト。 <寒鴉村社の杜も痩せにける>…現代風景、土地の人に馴染みの 深い格の低い神社。その杜が周りの開発などで薄っぺらになった。一つの物語 になっている。 <すかすかの庭を睥睨寒鴉>…そうですね、他の季節には何 かの花がある庭。寒中には何もない。そんな寒中の庭が、よく見えている。