雲助の「文違い」前半2015/11/02 06:29

 雲助の出の前、めくりを返した前座の柳家小はぜ、一之輔のマクラのせいで、 客席の様子見に座っただけで、客席に笑いを呼び、「がんばれよ」の声がかかっ た。 雲助、今、お遊び場所といえば、健全なものから不健全なものまで、い ろいろあるが、昔はジョウロ買いと決まっていた。 昭和33年3月31日にな くなった、国会議員のおばさんが反対して…。 てめえはババアだからいらな いが、いい迷惑だ。 吉原は遊女三千人御免の場所。 入山形に二つ星、松の 位の太夫職ともなれば、俳句も詠めば和歌も詠む、月琴木琴も弾けば借金の言 い訳もする、花も活ければ炭団(タドン)も埋ける、猫の死んだのは裏庭に埋 ける。 その花魁が、ブッと、屁を一発やった。 只今は失礼、おっ母さんが 長の患いで、その病が治るように願掛けをして、月に一度お客様の前で恥をか くことに。 するとまた、大きいのを、ブッ。 これは、来月の分。

 <他人(ひと)は客、おのれは間夫と思う客>。 十両だけ、出来た。 足 りないよ、半ちゃん、親父が下で座り込んでいるんだよ、二十両の無心で、こ れで親子の縁を切ってもよい、今度限りだと。

 在方から来る角蔵ってのが、いるんだよ。 はい、半ちゃんだから構わない よ、来たのかいアン畜生、田印が…。 六番です。 向う前だから、話が聞こ えるかもしれないけれど、金を持って来たと思うの、お前と来たら、すぐにチ ンチン(やきもちの意)なんだから。

 パターリ、パターリ。 生きてのかい、ちょっくら、こけこ、ちょっくら、 こけこ。 ニワトリみたいだね、何本手紙出しても、返事がないじゃないか、 こないだ坂井屋に登楼(あが)ったのはわかってるんだ。 あれ、どうして。  蛇の道は蛇って、いうだろ。 付き合いだ、茂左衛門、寅八郎なんぞに連れら れてな、あそこのアマッコの顔の長いこと、馬が紙屑籠に鰻をくわえたようだ った。 浮気な男だよ。 なんぞ、旨い物を持って来い。 私とお前さんの浮 名は、新宿中で知らぬ者はない、苦労が絶えないから痩せたのがわかるだろう。  おっ母さんの具合が悪いから、お百度踏んでるんだ。 医者が人参という高い 薬を飲ませなければというんだ、二十両もする。 人参なら、おらが村では一 分も出せば、どっさりくる。 お金、貸しておくれ。 ねえよ、十五両ぐれえ ならあるが、おらの銭じゃない、上(かみ)の竹松の馬、引っ張って帰らねば ならない。 おっ母さんが死んじゃってもいいの。 もういいよ、頼まない、 年期(ねん)が明けたら夫婦になる約束は反故だ。 馬とおっ母さんを、一緒 にするような人では…。 金やるから、持ってけ。 おらが悪かった、詫びる だで、持ってけ。 何もお前さんに謝らせて、お金をもらうような働きのある 者じゃない。 年期が明けたら、ヒーフになろう。

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